guchitohenkenの日記

とあるオタクの活動記録

地下世界で過ごした約1年半〜未知の世界への興味と恐怖〜

特別お題「今だから話せること

事の始まり

コロナ禍只中の夏のこと。
かねてより興味のあった男装界隈というものに知人の誘いもあって足を踏み入れた。
初めての男装さんとの出会い、それもデート型、そして兼業地下アイドルのコンボである。
正直やべー匂いしかしなかった。
実際やばかった。

とにかく今まで培ってきた一般常識という名の偏見の塊が全く通用しないのだ。
いい歳をした複数名の集まりにおいて、各々のそれが一致しない。
この時点で何かに気付いておけば良かったのだが好奇心には敵わなかった。

初地下アイドル現場

そこは未知の世界であった。
それもそう、私は着席式の古きゆかしきコンサートにしか行ったことがないのである。
しかし光る棒(※キンブレ)を合法的に振れる空間は心地好く楽しかった。当時はコロナ禍でヲタ芸もなく平和であったことも功を奏した。
ただし初見の感想は実のところ「魑魅魍魎が跋扈するお遊戯会」であった。
強いて言えば事前に話せていた男装さんの対応が丁寧で、所謂アイドルソングではない曲調も良いなと思った。ファンサも良くするな〜すごいな〜といった程度で表に出したほどの感動はなかった。

会えるアイドルに会いに行く

そのままである。地下アイドル現場でふんわりと見知った男装さんに会いに行くことになった。
内容は割愛。なにせ知人と男装さんが話すのをぼーっと見ていただけで特段記憶に残ることがなかったのだ。陰キャは3人以上になると話せないものである。
それ以降は複数名での利用は断ることにした。眺めているだけなのに行く価値が見出だせなかったからだ。それに対する反応は「担当の特典回収手伝ってもらおうと思ったのに〜」であった。……2対1の方が単価は安い。そして恐らく特典は2倍貰える。もちろんそんなものを受けるわけがなかった。
その後は家庭の事情や仕事の状態を鑑みて一人で予約をしたり現場に参加するようになった。
はじめは知人にも確認を取っていたのだか毎度来ないと言うのでやめた。そうするうちに毎度いるファンの方々とも交流を持つようになった。楽しかった。

卒業、独立、混迷期

歳を重ねるごとに時の流れが速くなる気がするのは私だけだろうか。疑問はともかく、ついに卒業というものに立ち会うことになった。見目良く人気のある男装さんで、卒業発表からは悲しみにくれるファンも多かった。
そうしてこうして来た日を迎え、そして過ぎた頃に異変があった。兼業地下アイドルの一部男装さんたちによる独立宣言である。問題は一部という点だ。兼業地下アイドルの男装さんがユニット丸々独立ならまだ理解出来た。しかしそうではなかった。
斯くして混迷期が始まった。予定された卒業のインパクトも大きかったが、ユニット内での分裂が起きたことも明白で、独立せずに残った男装さんが地下アイドルを卒業したことの影響も絶大であづた。
しかしそれだけではない。地下アイドルはあくまでセルフプロデュースであったものの、デート型店舗に関しては別途バックオフィス業務を取り仕切っていたであろう責任者や社員の方々がいた。常に間に入り、明瞭な利用規約の元で管理が行なわれ、スムーズな利用が出来ていた。独立後の店舗ではそれらがなくなったのである。
予約フォームから連絡をするのだがその控えが届かない。届くようになったかと思えば一部だけ。●●様(伏せ字ではなくこのままの表記)宛に件名のないメールが届く。見知らぬ人の名が書かれたこれまた件名のないメールが届く。予約出来ているはずの時間が空き時間表記になっている。空き時間に見えるところへ予約を入れようとすれば空き時間ではないと回答が届く。…枚挙にいとまがない。
それでもどうにかこうにかやっていたところへ情報漏洩疑惑、他担からのマウント匂わせ疑惑、ダブルブッキングが湧いて出た。マウントや匂わせに心折れるなどした。
この時点で相当に面倒臭くなっていたのだが、仲良くなったファンの方々にも被害が出ており運営へ問い合わせるなどした。結果は見るな、聞くな、無視しろ、お前が悪い、そもそも問い合わせるなであった。…接客最高ランクの男装さんの発言を要約したものである。
曰く、ファンが運営へ苦情を言うのは非常識らしい。苦情によって事務作業が増えると迷惑らしい。それが利用規約違反者やその行為に起因する事象への報告であっても、だ。
話は変わるが品質マネジメントシステムという概念がある。ISO9001という国際規格で定義されている。苦情対応は品質向上のため専門部署が対応する。私はそのような環境下で働いてきた。
閑話休題。界隈というものは運営が関われない場合、ファンの自浄作用が働くことで平穏化するものではないだろうか。あるいは違法ツールや転売ヤーが出れば運営自ら摘発、追放に動くものではないだろうか。母数が大き過ぎてどうにもならない場合は炎上なども見受けられるが、私が通って来たところはそういった界隈であった。

終焉

なんだかんだ言ったものの結局は運営が全てである。厄介は淘汰されるものだ。
そんなわけで私は淘汰された。それはいい。但し懸念がある。仲良くしてくだったファンの方々がまだ残っているからだ。
実のところかつてTOと言えるようなファンがいなくなってすぐ、あからさまな集金イベントと値上げのコンボがあった。自分で言うのもなんだが、その集金イベントにおいてかなりの割合を担ったのは私だ。身の丈にあった額しか出していないが、イベントの性質上出費しづらいファンが多かったのだと思う。
更にはファン同士で絶賛争いが起こっている。これの着地点によっては現在TOと言えるファンの脱落も有りうることを知っている。もしそうなれば残るファンは両手があれば足りる程になるだろう。
スタートアップ企業は2年で死の谷に臨む。
私は値上げと転落にカシオミニを賭けようと思う。

とにかく人が怖い世界であった。
私は地上で生きていく。